【完】淡い雪 キミと僕と
悔しい事に、その炒飯は激うまだった。パラパラしていたし、綺麗なテカリがあり、どこからどう見ても美味しそうだったけど、口にいれたらもっと美味しかった。
「ん~ッ美味しいッ」
その言葉を聞き、彼はまた優しい顔をしたんだ。
「後は大口を開けてアホ面しながら物を美味しそうに食べる姿も好きだ」
「それ馬鹿にしていない?」
「してない。俺は物を旨そうに食う女が好きなんだ」
「あっそう。それにしてもやっぱり西城さんは料理が上手ね…。なんか女としてどうかとも思うわ、わたし…」
「大丈夫だ。料理なんてもんは経験だ。
ところでどうする?」
「何が?」
「結婚の事だが」
大真面目に言ったその言葉に、さっきの彼のように炒飯を吐き出す。
「汚いな…。落ち着いて食えよ」
「ゴホッ、ゴホッ、け、結婚って。何で話がそう飛躍するのよ?!」
「だって俺と付き合うだろう?それならば、結婚の事を考えなくてはいけない。
そして一緒に暮らすだろう?暮らす家も決めなくてはいけない。別に俺は美麗のマンションも嫌いではないが…狭ければ狭い程くっついてもいれるし
けれど美麗が俺のマンションがいいなら越してくればいいし、新しい物件をふたりで見に行ってもいい」
「ちょっと、わたし…まだそこまで考えられないんだけどッ!」
「何故だ?!俺と結婚するのは嫌か…?」
いや、嫌とか嫌じゃないの問題ではなくて、結婚するのにも順序ってもんがあるでしょうよ。
それによく考えてみれば…