【完】淡い雪 キミと僕と
莉子は大学で友達になった子で
少し派手めな容姿ですこぶるスタイルが良い。
痩せ型なのに、Fカップある豊満な胸が大層ご自慢らしく、いつだって胸の少しだけはだけた服を着ている。
けれど塗りたくっただけの化粧は下品で、似合っていない真っ赤なリップは更に下品さに拍車をかける。
やり捨てされてるだけなのに、派手な男関係をあけっぴろげに話す。
口ではへーすごいとか適当な相槌をうっていたが、わたしは絶対に莉子のようにはならない。
男に高級レストランに連れて行ってもらっても
ブランドのプレゼントを貰ったとしても、簡単に身体だけは許さない。
だってわたしは選ばれた女なのだから。
本気で自分を信じていた。
わたしは物語のシンデレラで、王子様は必ず迎えにきてくれるなどと、何の根拠があってそこまで自分を過信できたのであろうか。
だからであろうか、ほんの少し、いや結構、ううんかなりの確率で、わたしは期待していたのだ。
何度も言うが、わたしは綺麗だ。努力も人よりしている。
高い美容液を買って、ダイエットも頑張って、エステに通ってヨガで汗を流して、生まれ持った美貌だけに甘んじぬように
幼き頃から、学校のマドンナと言われ続けた。今にして思えば、小さな箱の中でお姫様扱いをされて、遊んでいただけのようにも思えるのだけど。
人よりも少し優れている事は、時に凄まじい程の勘違いを生み出す。
小さな箱をひとたび出れば、わたしは数いる美しい女性の一人に過ぎなかったのだ。