【完】淡い雪 キミと僕と
お風呂は一緒に入ってはくれなかった。
女の子の日なんだから、とシャワーだけ浴びた。
別にそんな事は気にちゃいないんだが、絶対に嫌だと拒否された。それはそれで少し悲しいぞ?
別々に風呂に入り、深夜1時過ぎ寝室に向かった。
どこか寒々しい空間だったこのマンションも、雪と美麗がいると雰囲気が変わるから不思議なもんだ。
「おい、どういう事だ?」
一足遅く寝室で出向くと、そこにはキングサイズの中央に体を広げ寝そべる雪の姿。
おい、こいつってこんなにデカくて長かったか?!猫の成長は早い物だと言われているけれど、あんなに小さく未熟児だったとは思えない。
それでもこのキングサイズのベッドには不似合いな程小さい。なんせ猫なもんだから。
けれど、その小さな体で堂々と真ん中に眠りこんでいた。その横で美麗が雪の鼻を擽ると、雪は気持ちよさそうに左右にゴロゴロと転がっている。
「雪って真ん中が好きみたいなのよねぇ…」
「俺はどこに寝れば?!」
「雪の横が開いているでしょ?」
美麗と雪が並んで左側。十分人ひとり寝れるスペースはある。確かにあるのだけど…。
お互いの気持ちが通じ合って初めて共に過ごす夜だ。そこは少しくらい遠慮してくれてもいいのではないか?猫であろうと。
ブツブツ文句を言いながらも雪の隣に横になると、また雪は嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らし、体をそり返しこちらへ顔を向けて手足でじゃれつく。
…可愛いなぁ~。
雪を挟んで美麗と見つめ合う。大きな目を瞬かせて口元をあげ少しだけ笑ってこちらへ微笑む。
…可愛いなぁ~。
雪越しに見る彼女も、悪くはない。