【完】淡い雪 キミと僕と
俺と美麗の間、ゴロゴロと転がっていたかと思えば、それにも直ぐに飽きたらしく、それともこの高級ベッドがお気に召さなかったのか
ぴょいっと身軽にベッドからジャンプして、床に降り四隅に丸まり自分の体を舐め始めた。
猫は本来狭い所や角などが大好きらしい。床暖も入っていて、彼にはそれが良かったのだろう。
少しだけ開いた隙間。 彼女は下を向いて、その余白に気まずそうにしているからぎゅっと体を引き寄せた。
温かい。
そしていつもとは違うシャンプーの香りがする。さまざまな女を抱いてきたが、これ程居心地の良い女は今までいなかった。
すっぽりと胸の中に収まる大きくも小さくもないない美麗の体は、俺によくフィットする。
ありがちな言い方になってしまうが、これもそれも全て運命の仕業なんだと思う。
とはいえ、人は運命をこじつけてしまう生き物だから、ただ単に好きな人のサイズが自分に合うと思うのは自分勝手な願望だ。
君にもそう思っていて欲しいという、我儘な俺の。
「何か…」
「何だ?」
「わたしと西城さんってサイズがピッタリよね」
やっぱり運命だ。同じ事を考えているなんて奇跡の確立、だと思いたい。
人を好きになれば誰だって運命や必然などという言葉を使いたがる。俺はそういったロマンチックな類全く信じちゃいないが、美麗とは運命だと思いたい。
’サイズがピッタリよね’と少し照れくさそうにぶっきらぼうな笑顔を作って笑う君を見て、更に強く抱きしめたくなってしまう。