【完】淡い雪 キミと僕と

「ッ西城さん」

「いつまでそうやって呼ぶつもりだ」

腕の中の彼女が大きな目を見開いて、こちらを上目遣いで見つめる。

…その顔は、可愛すぎる。卑怯だ。

今日はずっと、こっちを振り回して不安にさせたり喜んだり、君の行動のひとつひとつにパニックにされっぱなしだ。

「西城」

何故か呼び捨て。それも相当偉そうに。

ニヤリと笑った気がした胸の中。 あんまりにも振り回されっぱなしな気がして、少し悔しくて
彼女の前髪をかき分け、おでこに軽いキスを落とす。

それにも驚いて顔を真っ赤にさせるもんだから、止められない。

ほっぺたに、顎先に、首筋に、彼女の柔らかい体のさまざまな場所へキスを落としていく

顔を真っ赤にさせて、手足をジタバタしても絶対に逃がさない。君の軟弱な体で、俺に力で勝とうとするのは100年早い。

「ちょ…止めてよ…。西城さんは西城さんでしょ?
つーか’西城’のが呼びやすいけど。いっつも頭の中で悪態をつくときは西城って呼び捨てにしてたもんッ」

「ほう、アンタは俺にいつも頭の中で悪態をついていた、と」

「そ、それは」

着ていたティシャツを捲り上げると、布団に潜り込んで彼女の身体中に唇を落とす。


「や…西城さ…駄目…あ…あぁ」

余りに可愛い声を出すもんだから、理性を忘れてしまいそうにもなるってもんだ。

まぁ、もう理性は忘れていいのだが。

履いていたジャージに手を掛けようとした時、布団の中でお腹を蹴られた。

それも、物凄い力だ。…こいつは足の力だけはやけに強い。


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