【完】淡い雪 キミと僕と
「単刀直入に言うのですが、美麗さんとは結婚を前提にお付き合いさせて頂いています。
今日はおふたりにご了承と言うか…。報告しておくべきだと思い出向きました」
「アンタ、何言って!」
美麗の座っていた椅子ががたりと動く。相当焦っているようで、両親と俺を交互に見て「ちがうのッ」と何かを弁解しようとしているが
目の前のふたりは呆気に取られたかのようにポカンと口を開けていた。美麗パパは缶ビールを右手に持ったまま静止していた。
先に口を開いたのは、笑い声を上げた美麗ママの方だった。
「あらあらあらあら、まぁまぁまぁまぁ、ウフフ。ウフフ。ママはなんとなーく分かってましたよぉ。
美麗ちゃんは大輝くんの事が大好きだって事。だってあの美麗ちゃんがママに料理を教えてくれなんて、誰か男の人の為だと思いましたもん。
それに男の人と言ったら大輝くんしかいないじゃないの~。
ウフフ~。良かったわね~美麗ちゃん。大好きな大輝くんへ想いが届いて」
「誰がよッ!」
「あらー照れる事ないじゃないのよぉ。ママは母親なんだから美麗ちゃんの心はお・み・と・お・し。
それに大輝くんならば大歓迎よぉ!!
大輝くん、ふつつかな娘ですが、どうぞよろしくね?」
美麗ママが優し気な視線をこちらへ向ける。
余りにもあっさりと認めてくれてこちらがビックリだ。
問題は、俺の彼女面をしている親父の方だが…。こちらは一人娘だから中々厄介そうだ。