【完】淡い雪 キミと僕と

「悪いけれど、タイプじゃあないんだ」

毎日のように連絡をした。
そして彼は優しい返信を返してくれた。

けれど出会った日に食事にでもと言った約束は果たされる事もないまま、ある日電話を掛けると冷たい声色でそう言われた。

盛りのついた雌猫にでも見えていたのだと思う。実際西城さん程の男性と知り合える機会は少ない。

ある程度の小金持ちならば、ゴロゴロといた。それでも西城さんは別格だった。



年収が全て。

お金がある事以外は別にどうでもいい。

そういう考えは港区で少なくなかった。


けれど、わたしはお金が全てだとは思えなかった。かといって、愛が貧困の全てを救ってくれるとは思えないが。
お金だけではなく、容姿だってスタイルだって重要なのだ。ある意味お金だけど割り切っている女性より質が悪い。

お金も容姿も全てを手に入れたいなど。



プライドはずたずたに、まるでボロ雑巾のように切り裂かれた。
切り裂かれた先から、毒が産まれた。

はなから相手にされていない。

別にあなたの事なんてどうとも思ってないですけれど?
ただお金持ちで顔もそれなりに良いから、こちらが相手にしてあげただけですけれども?
そういうスタンスは崩さずに、西城さんに尋ねた。

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