【完】淡い雪 キミと僕と

しかし、彼のお酒は進み終始ご機嫌で、美麗ママはホットプレートで何枚も何枚もお好み焼きを焼いた。

和やかな結婚報告だと思った。

美麗だけが「だから今すぐって話じゃなくて」とか、「西城さんの事情もあるし、わたしはまだ結婚なんて考えていない!」とほざいていた。

でも見逃さなかったぞ。アンタが時折ニヤニヤとひとりでほくそ笑んでいた事を。…全く素直になればいいものを。



午後15時程まで山岡家へ行って、俺たちは帰る事になった。

すっかり酒に潰れた美麗パパは大きないびきをかいて、ソファーで眠りこけていた。

車の中でさっそく美麗が絡んできた。

「何で勝手な事を言うの?!ママたちにはまだ結婚とかそういった話はしないでって昨日言ったばかりじゃない?!
あんなに喜んじゃって、どうするつもり?!」

「何…?良かったじゃないか…。俺は人を喜ばすのが好きだ。美麗ママも美麗パパもあんなに喜んでくれて実に嬉しいんだが?それの何が悪い」

ハーッと美麗の大きなため息が車内に響く。

そしてこちらをキッと睨んだかと思えば、またつらつらとどうでも良い事を並べ始めた。

「ぬか喜びされんなって言ってんの。何があるかなんか分かんないんだからね。
もしかしたらこの先西城に好きな人が出来るかもしれなし、わたしだって運命の人に出会ってしまうかもしれないじゃない。
だから一時の熱が上がった状態で未来の事は口にすべきではないわ…。わたし達が付き合い始めたのって、昨日でしょ?昨日なのよね?」



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