【完】淡い雪 キミと僕と
また下らん事を言い続けている。
しかし俺を’西城’と呼び捨てになっているのが多少気になるのだが、まぁ今日はそこは目を瞑ってやろう。
もっと気になるのは、この期に及んで俺にこの先好きな人が出来るかも、とか。美麗が運命の人と出会うだと?そんなの許さん。
そんな事がもしもあるのだとしたら徹底的に邪魔をして、その相手の男を社会的に抹消してやろう。
「一時の熱が上がった状態なんて、アンタはそんな気持ちで俺と付き合おうって言うのか?」
「そういう訳じゃあないけど…」
「じゃあどういう訳だ。俺はアンタが好きだ。アンタ以上考えられない。それだけじゃあ駄目なのか?」
「…駄目、じゃないけど…」
けど、けど、煩い。
急ブレーキをかけ、車を道の横に停車させると、美麗は雪の入っているキャリーを大事そうに握りしめ「何すんのよ!危ないな!」と怒鳴った。
ぶちぶちと煩いこいつを黙らせるために、口づけをした。
すると頬を紅潮させ、目をトロンとさせ体の力が抜けた。こういう女を黙らせるのにこれが1番手っ取り早い。
息も出来ぬほど深い口づけをして、それに応えるように彼女も唇を重ねた。正直でよろしい。
唇を離すと上気した顔で呼吸も僅かに荒く、垂れ下がった瞳でこちらを見つめる。
「だって…自信がないんだもの…」
「自信?」
「わたしは普通の女の子だし、あなたは西城グループの一人息子。釣り合いが取れてない…じゃない…」