【完】淡い雪 キミと僕と

そして話は急展開に進んでいってしまい、翌日パパとママに挨拶まで行ってくれた。

とはいえ、元々西城さんがお気に入りのパパとママの事。その報告に反対などは一切せずに、それどころか喜んでくれた。

ぬか喜びをされたらたまったもんじゃない。だから報告なんかしなくていい、とわたしは言った。

けれど彼は両親の前ではっきりと’結婚’と表明してくれた。勿論初めは焦ったし困ったけれど、誠実な彼の眼差しを見て、嬉しい気持ちでいっぱいになった。わたしとの未来を真剣に考えてくれているのだ、と。

今でも不安は拭い切れない。わたしと彼じゃあ、不釣り合いだし、不似合いだ。けれどわたしを選んでくれた。その事実は正直に嬉しい。

「わたし達って今幸せですねー…」

「そうね…本当に、幸せだわ…」

「うわぁッ。今の山岡さんの笑顔にキュンとしちゃいましたー…。
女の子もキュンとしちゃう程の可愛らしい笑顔ですもん、そりゃあ彼氏さんメロメロじゃないですか?」

「何を言っているの。千田ちゃんの笑顔の方が可愛いわ」

メロメロか、は知らない。

なんていったって口を開けば人の欠点を貶す事を生業としているような人だ。

ただ…ごくたまーに向けられる言葉と笑顔は、とてつもない破壊力がある程甘い。
そのギャップが溜まらないのだ。

「きっと山岡さんの彼氏さんって素敵な人なんだろうなぁ」

「そんな事、千田ちゃんの彼氏さんだってとても素敵な方じゃないの」

「えへへ。そりゃあまぁ…。でも絶対山岡さんの彼氏さんは素敵だと思います。
たとえばあんな人みたいな…」

「あんな人…?」


< 430 / 614 >

この作品をシェア

pagetop