【完】淡い雪 キミと僕と

「いいよ、クリスマス行こう。楽しみだなぁー…北海道。それにクリスマスだから雪降ってるんでしょ?!
わたし、ホワイトクリスマスなんて初めて」

「アンタは意外にロマンチストな所があるから喜んでくれると思った。高級ホテルが良いなんて我儘を言い出したらぶっ飛ばしてやるところだったぞ」

「だから、アンタはもうッ!!」

「クリスマスの事もあるが、引っ越しは早めにしよう。出来れば年明け直ぐにはしたいもんだ。ここも案外俺は気に入ってはいるが、何せ荷物が入らない。
次の物件は雪のキャットタワーが余裕でおける所がいいな」

「そうそう思ったんだけど、アンタが住んでるような馬鹿みたいな高級マンションは止めてよね。
確かに素敵な所だけど、エレベーターに乗る時間が長すぎて、部屋に着くまでに疲れちゃうわ。
常識の範囲内で広い所にして頂戴ね。後、家賃は少しだけでも負担するから、アンタに全部頼りッきりなのは囲われてるみたいで気分が悪いわ」

「全く口の減らん女だ。恩は素直に受け取っておけばいいものの」

そう、クリスマスに同棲。

楽しい事ばかり考えていた。

彼とわたしの身分の事などすっかり忘れて、愛されている事に油断してしまっていた。

陰で色々な事が動いていたのも、人知れず彼が悩み苦しんでいる事さえ、馬鹿なわたしは全く気付いていなかった。



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