【完】淡い雪 キミと僕と
「もう、ゆっくりお風呂も入らせてくれない!仕事で疲れているのに」
「俺は美麗と一緒にお風呂に入ってると疲れも吹っ飛んでいくが?」
「だからそういう言葉がよくぽんぽんと出てくるものだわッ」
「アンタが素直じゃなさすぎるんだ。素直に嬉しい時は嬉しいと言えばいい。言葉では可愛げのない事を言っていても、身体は実に素直に反応している」
その華奢な体を抱き寄せ、後ろから頬にキスを落とすと彼女の体に少しだけ力が入ったのが分かった。
顔を見なくても分かる。目を瞑り、声を我慢している事位。 お風呂の中、好きな女が裸でいるのに我慢出来る程出来ている男ではない。
けれど、毎日のように一緒にお風呂に入っていても、湯の中でそういった行為をするのを、彼女はいつだって拒否してきた。何でもベッドが良いとかなんとか理由をつけて。
だが、今日はどうにもこうにも止まりそうにはなかった。
忘れたい事は沢山ある。欲に溺れ、目の前の事にただただ集中していれば、その時だけ考えなくても良い事は消えてくれる。
後ろからじらすように彼女の身体へ触れると、ビクビクと面白い位反応してくる。
「ちょ…止めてよ…触らないでって…」
顔を少しだけこちらへ向ける、美麗の瞳は潤んでいた。
何にも分かっていない。そういう表情は男を挑発しているだけだって事。
いつもならばここで殴られ、暴言を吐かれ、美麗はさっさと湯から出て体を洗う。けれど、今日に限って彼女は声を我慢しながら身体を震わせていた。
なので、行為はどんどんエスカレートしていく。