【完】淡い雪 キミと僕と
「駄目だってば……。するならば、お風呂を上がってから、ひゃあッ!」
言葉とは裏腹に、柔らかい肌に触れると、その度にびくんと反応を見せ、可愛い喘ぎ声を小さく漏らす。
そうやって悦ぶ素振りを見せると、こっちの指も止まらなくなってくる。
狭い浴室の中、水の音と美麗の声が交互に響いた。
「…あッ……駄目…駄目だよ…やぁ……」
「何が駄目だ。言葉と身体はどうやら裏腹なようだ…」
「西城さ……止めて……あぁ…あ…ん…」
「止めて欲しいのならば、本気で抵抗をするべきだ」
もう力はほぼ入ってはいない。抵抗する気は全くと言ってないようだ。後ろ向きだった身体をこちらへ引き寄せて、深いキスを落とした。
言葉では嫌だと言っていても、彼女の身体は既に俺を受け入れる体制になっていて、少しだけ腰を浮かせてやるといとも簡単に俺を受け入れた。
頬を紅潮させ涙目になっている美麗の表情に、我慢を出来なくなったのは俺の方で再び彼女へとキスを落とし、狭い浴槽内では俺の吐息と美麗の可愛らしい声が響いた。
とても幸せな気分だった。
今まで女を抱いて、こんな気持ちになった事は殆どない。
愛しいとか、可愛いとか、壊したくなるほど、その華奢な身体を強く抱きしめたい、など。
女と寝るのは、ただの性欲処理だと思っていた男が、愛しいと思い女の身体を何度も求めるなんて、失笑ものだ。
ましてや中坊や猿でもあるまいし、毎日毎日求めあう程の性欲が自分にある事にも驚きだが、美麗を愛しく思うたびに、彼女に気持ちよくなって欲しい、彼女の色々な表情を見せて欲しい、自分の物だけにしておきたい。そういった特別な感情ばかり湧いてくる。