【完】淡い雪 キミと僕と
「そうしてそんな顔をすると言うのだ。もしも子供が出来たのならば、産めば良い。結婚を前提の付き合いだ。
俺には全く問題がないのだが?」
「こういうのは順序ってもんがあるでしょう?!それに今日の西城さん…何かおかしかった…わたしを抱いている時も…様子が変だった」
眉毛を下げ、心配そうにこちらの顔を覗き込む。
たまに偉く人の気持ちに敏感で、心を見透かされている様な気がしてならない。
そんな君が愛しくて、ドライヤーを洗面台に置いて、たまらず抱きしめる。
「ごめんな。ついつい仕事の疲れがたまっていて、野蛮な事をしたと思っている。嫌だったのならば謝る」
「嫌…ではないけれど…。あの、わたしは男性を西城さんしか知らないのだから余り分からないのだけど…
こういった行為は誰としても…こんなに気持ちの良いものなのかしら…?」
「はぁ?!なんだ、それ。アンタまさか他の誰かとしようなんて思っちゃいないだろうな?」
美麗の言葉に、少しだけキレそうになった。
俺と言うものがありながら、他の男との行為を想像しようとするなんて、それが想像の範囲であったとしても、俺は嫌だ。許せない。俺以外の男の事を考えるなんぞ。
その様子に美麗は焦り、違う、と何度も両手をぶんぶん振る。
「そういう意味じゃないわ…。わたしは本当に何も知らないの。…こんな歳まで西城さんしか男の人を知らないから…。
だからこんな風に自分の心とは対称的に身体がおかしい感じがしたり…口では嫌だと言ってももっとして欲しいなんて思ってしまうなんて…
ねぇ、もしかしてわたしアンタを性獣やら性欲モンスターなんて馬鹿にするけれど…わたしももしかしたら…そんな性欲が強いはしたない女なのかもしれないわッ…」