【完】淡い雪 キミと僕と
あぁ、そういう事か。
「それならば、問題がない。それはアンタがどーのこーのという話ではない。
俺が上手すぎるんだ…。」
「そうなの?」
だから大真面目な顔をして顔を覗くな。
24時間でも君を抱いていたい程、俺は美麗が好きなんだから。
「そうだ。当然だ。俺を誰だと思っている。
それにそういった気持ちになるのは、美麗だけじゃない。今まで数多く俺に抱かれた女たちも同じ気持ちになっただろう」
けれどそれを口に出すと、明らかに不機嫌な顔になりそっぽ向いてしまった。バスタオルとバスマットを洗濯機に入れ、さっさとリビングへ去っていく。
どうやら何か地雷を踏んだ気がしてならない。
俺を無視し、雪にちょっかいをかけ’雪は可愛いでちゅね~’と抱き寄せる。
「何を怒っているんだ」
「怒ってないもん…」
「怒っているだろう。たくッ。素直になって感じてたり、もっとして欲しいなんて言ったかと思えば」
雪を抱いたまま、ふいっと横を向いて唇を尖らせた。
「だって、わたしは初めてで西城さんしか知らないけれど、西城さんはわたし以外の女性の身体も沢山知ってるって思ったらなんか悔しくって…
それにわたし…きっと上手でもないし…スタイルだって良くない…。胸だってぺったんこだから…だからだから、きっとわたしより良かった女の人なんて沢山いたんだろうなぁって思ったら悲しくなっちゃった…」
何という事だ。
美麗、それは嫉妬だぞ…?またの名をヤキモチとも言う。
可愛い顔をして、拗ねたかと思えばそんな愛らしい理由だったとは…。 これだから俺はもうアンタでしか駄目だ。
雪を抱く、美麗を後ろから抱きしめる。
そんな可愛らしい独占欲で鼓動が高鳴るほどには、君を強く思っている。