【完】淡い雪 キミと僕と
「美麗…アンタは時たま可愛すぎる。」
「何言ってんのよ…」
「確かにアンタより綺麗でスタイルも良く、胸のデカい女などこの世には沢山いる」
「だからーアンタってわたしを傷つけたいわけ?!落ち込んじゃうよ…。そんなの言われたら…」
「けれど、毎日抱きたいと思うのは美麗だけだ。
というか、今まで同じ人間を毎日抱きたいと思った事はない。
俺は性欲は余りない方なんだ。だから歴代の彼女であろうと、セフレであろうと頻繁にそういった行為をしてきてはいない」
「ねぇ、それってさ?」
「うん?」
「体の相性が良いって事なの?」
天然かな?
言いたい事がどうやら伝わっていないようだが。
納得したように’確かに相性ってのもあるものかもしれないわ’とひとりぶつぶつ言っている。
馬鹿女め。
「相性が良いってのはあるのかもしれないけど、それだけじゃない。
俺は美麗を愛しているから、理性がきかぬ程求めてしまうのだ。
こんなに愛した女はアンタだけだ」
その言葉には、さすがの美麗も硬直し真っ赤になっていた。
分かりやすい女だ。美麗が抱える雪を抱き上げ、床へ降ろしてやると、代わりに美麗をお姫様だっこで抱き上げた。
そしてベッドへとゆっくりと降ろす。
「俺の愛を証明してやろう―」
「さ、西城さ…」
一晩中抱き合えたとしても、縛れない物もあった。
逃げても、逃げても、逃げきれない物もある。逃げれないのならば、隠して欲しかった。君の中で、永遠に隠されていたのならば、どれだけ幸せだっただろう。
俺が西城大輝である事を忘れさせてくれ。まさか自分の運命も選べない人間である事を、気づかされたら立っていられなくなる。
本当は酷く不安で、孤独だった。君と離れる気はないと言っても、誰かの手によって引き離される日が来るのが怖くて、ただただ怯えていた。
きっと君が思う程俺という人間は強くはない。