【完】淡い雪 キミと僕と
「非常に残念なお知らせだ」
車に乗った途端、西城さんが口を開く。全然残念じゃなさそうな顔をして。
「美麗には言い忘れていた事だが、今日は美麗パパにデートに誘われている」
「んなもん知ってるよ。ママから聞いてるから」
「そうなのか?」
こちらに顔を向けた西城さんは驚きの表情をする。だから何でそんなに驚いてると言うの?
「だからたまにはひとりでマンションでゲームでもしようかなーって思ってるんだもん」
「ひとりで…?ゲーム…?」
「そうだよ。西城さんは知らないかもしれないけど、わたし結構携帯のゲームするの好きなの。
井上さんと琴子さんとギルドも組んでるんだから」
「ギルド?とはなんだ。
つーか井上晴人と繋がるなッ!」
「ギルドはチームみたいなもん。
いいじゃない。琴子さんとだって繋がってるんだから、それに琴子さんともゲーム内で会話出来るから楽しいのッ!
わたし達、実際は楽しく会話した事ないから、まずはゲームからって事で」
「…帰って来てから、混ぜろ」
「西城ゲームなんかすんの?」
「西城と呼び捨てするな。ゲームなんかしない。けれど裏でこそこそと井上晴人とゲーム内でも浮気されてたらたまらない」
「だから琴子さんもいるって言ってんのに……」
「うるさい。取り合えず帰ったらそのゲームとやらを教えてくれ。
そして申し訳ない。今日は真昼間っからアンタが大好きな事を沢山してやろうとは思っていたが、さすがに美麗パパの誘いは断れんからな」
「大好きって……もうッ!」