【完】淡い雪 キミと僕と
わたしは…井上さんと琴子さんにだけは、わたし達が付き合っている事を報告してもいいんじゃないかと思い始めていた。
けれど、西城さんは昔琴子さんを好きだったから、もしかしたら知られたら嫌なのかな?とそんな想いがあり、彼には中々言い出せなかった。
とても愛されているとは思う。
…でも、心のどこかでほんの少しでも彼がまだ琴子さんを想う気持ちがあったとしたなら、立ち直れない。
わたしは、と言うとすっかり井上さんとも普通に接する事が出来るし、3人でゲームまでしちゃっている。西城さんのお陰で、井上さんへの想いは断ち切る事が出来た。
こういう時、女性の方が過去の恋を引きずらないというデーターがある。
わたしは西城さんがどれだけ琴子さんを好きだったか知っているから、きっとわたしと付き合っている事は知られたくないだろうと自己完結していた。
その後、3時間程ゲームに熱中していたら、西城さんがパパとのデートから帰ってきた。
雪を迎えに行くのにも、丁度良い時間になっていた。
帰ってきた彼は、少し…いやかなーり疲れている模様だ。
「おかえりッ。て、どうしたって言うのよ」
パーカーにジーパンといったいつもと違いラフな格好をしていた西城さん。
今日はパパと一緒に室内アミューズメントパークに出向いていた。ボウリングや室内スポーツが出来る大型施設だ。一緒に行くか?と誘われたがお断りした。なんだか気まずいし…。
そんな彼が帰って来るなりソファーに身を任せ、テーブルに置いてあったわたしのお茶を一気に飲み干した。