【完】淡い雪 キミと僕と
「美麗パパはタフすぎる…」
「まぁパパは元気だから…」
「えらく気に入ってくれて、楽しそうだったよ。あの人本当に動くのが好きな。
アレもコレもやろうって子供のようにはしゃいでて、保護者になった気分で大変だった…」
「アハハ、それは想像がつくわ。でもパパに付き合ってくれてありがとうね」
「施設内にあるゲームセンターにも行って遊んだんだ。そこで女子高生たちがプリクラの前にたまっていて…
あの親父何を考えていたのか知らんが自分も撮りたいと言い出し、まさか本気で撮ろうとは言うと俺も思っていなく
仕方がなくプリクラを撮る羽目になってしまった…」
財布の中から、50も過ぎた親父と20代後半の大男のプリクラが出てきた時には爆笑を通り越して、息が出来なくなりそうだった。
パパは実に楽しそうに西城さんの腕に自分の腕を絡めて笑い、その隣で西城さんは笑顔を引きつらせていた。
…ていうかずるいわ、パパったら。わたしだって彼とプリクラなんて撮った事ないのに…。
「ぶ、ハハハ。これは傑作ね」
「美麗パパはプリクラを携帯の裏に貼っていた。あの親父は俺に気があるとしか思えん」
「そりゃーウケる。パパってば西城さんがお気に入りなもんだから。」
「全く…」
全然怒っている様子はなく、今日あった事を楽しそうに話してくれる。だからわたしも嬉しくなってしまう。
パパの事も、ママも事も大切にしてくれる西城さんが。パパの面倒なお願い事に嫌な顔ひとつせずに付き合って、まるで本当の親子以上に親子のようで
幼少期に親に親らしい事をしてもらえなかったという彼。
その溝を埋めるように、パパと一緒に遊んでいる時は、普段の彼からは想像もつかないような子供の顔になるのだ。それにはあのパパにも感謝したい。
雪を迎えに行くまで、あと数10分あった。だから、それとなく彼に琴子さんの事を訊いて見る。