【完】淡い雪 キミと僕と
「それはアンタの鼻が臭いのかもな」

「臭ッって女に言うセリフじゃないってつってんの!」

「それとも口が臭いとか?」

どこまでも失礼な男。減らず口。やっぱり針と糸で縫ってしまいたい。

チャックをつけて、鍵をかけて、その鍵を預かりたいものだ。必要な時しかその鍵は渡さない。

そうすればこの失礼な男も少しは大人しくなるだろう…。

「やっぱりアンタ大嫌いッ!」

「何でそんなに怒っているんだ?
人間誰しも口が臭い時はあるものだッ。特に餃子などを食べた後は…」

「そういう問題じゃねぇよ!とりあえず今日の用事は終わったでしょ?!
帰った、帰った」

ソファーの上に散らばったパソコンや資料やらをまとめ、仕事用の鞄を無理やり押し付け
追い出すように西城さんを無理やり家から出した。

諦めがつかない彼は玄関で片足だけで踏みとどまっている。

そして、右手にチャリンと涼しい音が響いた。手に握られているのは鍵。おそらく、この家の合鍵だ。

作るとは言っていたが、マジか。

「明日も来るからな!アンタに会いにくるわけではない!猫にだ」

分かってるつーの。

無理やり追い出して、鍵をかけた。

するとすぐに金属音がカシャンと響いて再び玄関の扉は開けられた。

「合鍵の力だ」そう言いかけた西城さんを再び追い出し、しまいにはチェーンもかけてやった。これならば入って来れまい。


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