【完】淡い雪 キミと僕と
きっと、井上さんと琴子さんはスピーカーからこの口論を聴いている事だろう。
…マジで止めて欲しい。
「えぇーーーー?!もしかして、大輝と山岡さん付き合ってるのー?!」
琴子さんの大きな叫び声が響く。
「お前はうるさいッ。黙れ!
とりあえずだ、井上晴人。お前はあんまり美麗に近づくな話しかけるな見るな!
分かったか?!」
「…はぁ…分かりました…。ごめんなさい…」
「話はそれだけだ、じゃあな」
何故か悪くもない井上さんが謝り、琴子さんがまだ喋っているというのに西城さんは電話を切った。
…これのどこが報告よ!サイッテー!
あいつの声を聞き気分が悪くなった、と言い西城さんはそっぽを向いてソファーに寝転んでしまった。
よくも蹴り飛ばしたな。とこちらに睨みをきかせ…。
わたしは慌てて携帯を開き、ラインを作成する。
『井上さん。ごめんなさい。あの馬鹿が。
というかあの馬鹿の言った事は気にしないでね。これからも仲良くしてください』
返信は直ぐに着た。
『全然だよ~、ていうか山岡さんと西城さんが付き合ってるなんてびっくりだよ~今度詳しい話を聞かせてね~
後琴子が大輝の連絡先送っておいてって言ってる~』
なんとまぁ癒されるメールだろう。どこかの誰かとは大違いだ。
西城さんの連絡先をラインに張り付けて、携帯を置き、そっぽを向ける彼の背中を擦る。
するとこちらへくるりと向き、頭を掴まれ強引にキスをしてくる。
「ん~~…ふぅ……」
「相変わらずムカつく声だ。」
「だから何を怒ってんのよ…」
「嫌なんだよ…。お前が好きだった男の声も聞くのも…苛々してくる」