【完】淡い雪 キミと僕と

「会うのが久しぶりなのに、自宅でゆっくり出来ないのは悲しい所だがな……早く切り上げて家に帰りたい…雪のモフモフにモフモフしたい…」

「もー、そんな事言わないでよッ。デ、デートみたいで嬉しいしさ。
わたし達ってこうやって改めてデートってあんまりした事ないじゃん。だから嬉しいの」

可愛い事を言ってくれる。

ファーのついた白いショートコートを着て、いつもよりメイクも髪もばっちりと決めている。

月並みな言葉だが君は綺麗だ。お洒落をしてくれたのも俺とのデートの為だと言うのならば、こんなに愛しい事はないだろう。

まぁ俺は家でダラダラしてるスッピンの君だって、変わらずに好きだけど。たまには着飾って街を歩くのも悪くない。



午前中は、物件探しにあてた。

美麗の希望を聞いてあげるつもりだった。費用は幾ら掛かっても構わない。可愛い美麗の為ならば、金など幾らでも惜しくは無かった。

けれど彼女が所望する物件は、俺にとっては余りにも普通すぎた。望めばどんな高級マンションにだって、住まわせてあげる事は出来たのに。

「ねぇ、ここ素敵」

3件程物件を巡ったが、彼女は3番目にきた物件を偉く気に入ったようだ。

広さは2LDKで、10階建ての8階。日当たりも良好。リビングは決して広いとは言えなかったが置きたかったキャットタワーは十分に置ける広さで、何よりもセキュリティーがしっかりしていた。

セキュリティーに関しては、俺が強く推した。

現在美麗が住んでいるマンションはセキュリティーなんてあってないようなもんだから、可愛い美麗に危険が及ばぬよう細心の注意をはからねばならない。

それでも俺が現在住んでいるタワーマンションの家賃半分以下だった。



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