【完】淡い雪 キミと僕と
水色と白。どっちもそう変わらんだろう。

面倒臭い女だ。いっそ店ごと買ってしまえば良い。俺を誰だと思っている。

美麗はぷんぷん怒りながら、店員さんと何かを喋っている。ふと服の値札を見たら、驚き目が飛び出しそうになった。

…あいつはこんな安い服を買うのか…。

いや、偏見や差別ではないが、こんなよく知らぬブランドの安い服を着ても、美麗はとても美しく可愛い。これは着ている本人が良いからなのだな、と思わず関心してしまったのだ。

「西城さん!水色にしたよッ」

「そうか。それは良かった。では買おう」

「いや、もう買ったし」

そう言って、美麗はショップバックを右手にぶら下げ、何やら満足気。

アンタは満足気でも、俺は不満だ。何を勝手に…。

「おい、他に欲しい物はないか?靴でもバックでも好きな物を買ってやる。
この魔法のカードがあれば、買えぬ物はない」

黒く光るカードを手にしても、美麗は白けた顔をするばかりだった。

「何言ってんの?それよりわたし旅行用の小さなキャリーを買おうと思ってるの。それも付き合ってね」

華麗にスルーされて、また肩を落とす。

何故だ?!女性とショッピングに来ていて、お金を出させるなんて…それは男としてどうかと思うぞ?

しかし、彼女は俺に何かを強請る、という行為をしてこなかった。

港区の男からは沢山の貢ぎ物を貰っていた筈だ。そしてそれをステータスとも考えていた筈なのに…何故にこう頑なに。



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