【完】淡い雪 キミと僕と
そんなやり取りをしているうちに、小さな子猫はソファーの上からこちらへ向かって「みゃあみゃあ」と必死に鳴き続ける。
危ない、そう思ってソファーからずり落ちそうになった子猫を両手でキャッチした。
セーフ!
これでも元バスケ部のキャプテンなんだから。しかし危ない目にあったはずの子猫は腕の中包まれて、みゃあみゃあとしつこいくらいこちらを見て鳴く。
’こいつすげぇ可愛くない?’先ほどの西城さんの言葉が脳裏を浮かぶ。
わたしだって悪魔ではない。
勿論それなりの情は兼ね備えている。
だからこのように屈託のない顔をして、何ひとつ疑わずに身を預ける子猫を見ると
可愛いという感情はひしひしと沸いてくる。
…これって母性本能って奴なのだろうか?
きっとこいつは今宵も離れたくないと言ってわたしのベッドに登ってこようとするのだろう。そんな短い脚で登れるものか。
それでも何度も何度も諦めずに登ってくる。
だからこそ、そんな命を愛しく感じない方がおかしいのよ。
早く、早く、離れなくては。いつか離れる事が寂しくてたまらなくなってしまったら、それはそれで困る。
ふとそんな事を考えてしまう夜だった。