【完】淡い雪 キミと僕と

美麗は仕事の役に立たなくても良い。西城グループになんぞ関わる必要はない。

不格好なタコさんウィンナーは美味しいし、ちょっと焦げた卵焼きはとても甘いが悪くない。こんなお弁当を毎日作ってくれるというのならば、俺の仕事に十分役に立っている。

君がいるから、俺は精神的に支えれているんだ。

『すまない。今夜接待が入ってしまった』

『最近忙しいわね?体調は大丈夫?あまり飲み過ぎないようにしなさいね』

『いや、酒を飲むような接待ではない。ただの会食なので、気にしないでくれ。
それよりも会食が終わったら美麗の家に行こうかな』

『え~いいよ。最近仕事忙しくって疲れてるじゃない。昨日だってわたしの買い物に付き合わせっちゃってるし
たまには家に帰ってゆっくりと休みなさいよ。心配してんのよ。旅行の為に仕事沢山つめてくれてるんだなぁ~って…
わたしの為とはいえ、申し訳ないわ。だから今日は帰って休みなさい。明日は、来てくれる?』

『明日は早く帰れそうだ。一緒に夕ご飯を作ろう』

『わーい!!寒くなってきたから鍋にしようと思ってたの。
ひとり鍋は寂しいから。楽しみ』



ボヌールは、実に可愛らしいお店だった。

まぁ美麗のメールの可愛らしさには到底敵わんが。

若い女性がデートで使ったり、女子会などで賑わっている。

不思議の国のアリスがコンセプトと言うのも頷ける。

お店の外観、内装を持ってもよく凝っていて、食器の類にも拘りが垣間見える。

そういう所はさすがと言ったところか、センスのある篠崎社長の娘ではある。


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