【完】淡い雪 キミと僕と

社内から出て、待ち合わせ場所へ行くと直ぐに彼が分かった。

遠目から見ても目立つのは、その奇抜なファッションのせいだろう。下手したらダサくなってしまようなデザインの物を、上手にいつも着こなしていた。…さすがはファッションメーカーの息子ではある。

青いチェックのジャケットは、とてもよく目立つ。それに白いパンツを着こなしていた。

背は大きい方ではないけれど、いつも可愛らしい洋服は、そんな彼にとても似合っている。

わたしに気づくと、大きく手を振って子犬みたいな可愛らしい笑顔を見せた。

「美麗ちゃーん!」

「シーッ!佐久間さん、めっちゃ目立ってるから!」

「アハハ~ッ。ごめ~ん。今日は浮かれちゃってて」

ニカッと笑うと真っ白の歯。そして頬に浮かぶ笑窪が何とも可愛らしい。

時間がもったいない、と言った彼はわたしの手を無理やり取り、お店まで走り出した。

ちょちょ、何さり気なく手を握っちゃってんの?!…とはいえ、ランチで選んだお店は歩いて数分。あっという間に到着してしまった。



一度は来てみたかった程、目立つ造りの可愛らしい洋館風の外観。

勿論入った事はない。…値段もそこそこすると言った噂だし、敷居が高すぎる。中に入ると、まず可愛らしい制服を着た店員さんが迎えてくれた。

何て可愛らしい制服なの?!おとぎ話に出てくるメイドさんみたい。

そして店内もトランプ柄と言うのだろうか、ハートやダイヤなどで統一されていて、女の子がいかにも好きそうな造りだった。



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