【完】淡い雪 キミと僕と
足元には雪がいて、不思議そうにわたしを見上げる。
まるで’どうして声を掛けてくれないの?’とでも言いたげだ。 けれど、そんな健気な瞳を向ける雪さえ無視した。
無視したまま、ベッドへと行き、頭から布団を被る。
「美麗!!何か不満があるのならばハッキリと言え!
黙っていちゃ何も分からない!」
「…会ってたでしょ」
「え?」
ベッドの上、花柄のシーツに涙がぼたりと落ちた。
布団を一気に捲り上げ、彼の方を見たら、彼は眉を少しだけ下げて、とても困った顔をしていた。
けれども、わたしの嫉妬からくる醜い感情は止まらなかった。
「菫さんに会ってたでしょ?!
わたし、何も聞いてないッ。
一緒に仕事してるとか、ご飯を食べに行ったなんて話なんっも聞いてないッ!
今日ボヌールに行ったら菫さんがいて、嬉しそうに西城さんと仕事をするのって、話してくれた!
どうして何も話してくれないの?!隠れて菫さんに会うなんて最低よッ。こそこそと、下心があるとしか思えないわ!」
涙が止まらない。醜い言葉も、止まりはしなった。…あぁ、なんて心の狭い女だろう。
「美麗…違うんだ…。お願いだから、泣かないでくれ」
西城さんの右手が伸びてきて、涙を拭おうとした。それもわたしは拒絶した。子供のようにしょんぼりと肩を落として、西城さんの方こそ泣きそうな顔をしていた。