【完】淡い雪 キミと僕と
姉たちには、それぞれに息子がいた。順序通りに行けば、自分が西城グループを継ぐ事になる。だけどそれが面白くない。
面白くないのであれば、それはそれでいいのだが、俺は西城グループの行く末などさっして興味はないのだ。だから4代目が父の姉の息子であろうが、それはどうでもいい話だ。
しかし、俺にとって祖父にあたる人物は、肩書は会長だがまだまだ現役でバリバリと仕事をこなす。
自分に自信があって、いつだって自己の信念を貫き、世の中の流れに常にアンテナを立ててるような人で、とても経営者に向いているタイプだと思う。
そんな祖父は、父を余り良く思っておらず、逆に孫である俺には厳しいが、それは期待の表れでもあるように思える。
俺は俺の与えられた役割をこなして、大きくなりすぎた会社の行く末を見守っていく。
自分がどの役職に置かれるかなんて、美麗の多すぎる基礎化粧品並みに興味がない。
「あなたは、本当に暇な人ね」
ベッドの上でシーツから顔だけを覗かせる女が唐突に言った。
まぁSランクと言ったところか、しかし女というものは不思議な生き物だ。
裸になり、さっきまで絡まり合っていた男を前にしても、顔に塗りたくった分厚いメイクは落とそうとしないわけなのだから。
それは彼女たちにとって、裸になる事より恥ずかしい事に値するのだろうか。