【完】淡い雪 キミと僕と
女の名は、佐々木友理奈と言う。
昔は人気雑誌でモデルをしていた。通称読モ。
そこから雑誌の表紙まで飾ってしまう時代だ。本格的なモデルより親しみやすい、といった事が人気のひとつであるらしい。
友理奈は特に当時出ていた雑誌で素人ながらに人気があり、現在はSNS関連で商品のPRをしたり、イベントに呼ばれたり、何かと胡散臭い女だ。
しかしハーフであるという容姿はパッと人目を惹くし、日本人離れしたスタイルは男として連れて歩くのには最高の物件なのであろう。
こいつの収入ではとてもじゃないが住めないであろう高級マンションは、彼女曰く’パパ’からの貢ぎ物らしい。
パパと言っても血の繋がった父親ではない。友理奈のいうパパは所謂支援者的存在なのだろう、愛人とも言うが。
口には出さないが、そういった存在が沢山いるのであろう。これだけの美しさを持つ女だ。パパのひとりやふたりいてもおかしくはない。そして彼女はそういった事を悪い事とは微塵も思っちゃいない。
大いに結構な事だ。開き直って、優雅な生活を送る事は悪い事ではない。
そしてこの女が美麗を紹介してくれたのだ。それはどういう気持ちかはいまいち理解は出来ないが。
「いや、こう見えてもそんなに暇じゃないんでね」
「西城グループの道楽息子が、よく言うわ」
「最近は仕事以外でも立て込んでいてね」
「あら、そうなの?なーに?女関係?見境ないんだもん、大輝くん」
「結構女は選んでいるよ。友理奈ちゃんレベルの子じゃあなきゃわざわざ家まで出向きはしない」
「口が巧いの、誰にでも言ってるくせに
あたしなんて大輝くんにとったらどこにでもいるような女のひとりでしょう?」