【完】淡い雪 キミと僕と
あたしなんて、って謙遜してる風に言う癖に、この手の女は自分に相当自信があるはず。
プライドが高くて、見栄っ張りで、そのくせ、金や権力がある男には直ぐに足を開く。貞操観念のまるでない、馬鹿女の典型みたいな女で、そしてそういった女は嫌いではない。
少なくとも、美麗のような女の方がよっぽど苦手だ。
「口が巧くなんて、別に。
それに俺は頭の良い女が好きなんだ。友理奈ちゃんはとっても魅力的だよ。読者モデルで終わるなんてもったいない。
本格的に、そういった仕事を始めて見ればいいのに」
心にもない事をよく口に出来るものだと自分でも関心する時がある。
けれど、ベッドで寝転ぶ友理奈は瞳を垂れ下げて口角を上げて笑い、とても満足気なのだ。
確か、美麗と同じで今年で25歳だ。
たかが読モ上がり。くわえて、育ちも余り良くない。彼女の周りはで良い話は聞かないし、業界でももっぱら評判は良くない。
ハーフである事は彼女の自慢のひとつであるが、珍しい事でもない。世界を股にかけるような本格的なモデルには、どう足掻いたってなれやしないだろう。
たかが読モの世界だって、若い女はどんどん頭角を現して行って、追い出された形なのだろう。
彼女のような女性たちが売り物にしている、若さと美貌はピークに達して、やがては朽ちていくだけなのだから。
「そうねぇー。でも今の生活結構気に入ってるよー。
SNSやって、憧れの生活とか若い女の子にチヤホヤされるし、いや別にチヤホヤされたい訳じゃないけど。
まぁ、あなたたちがいくらあたしに憧れようと、あたしのようにはなれないですよって感じで。アハハ」