【完】淡い雪 キミと僕と

「素敵ね。本当に良い旅館だわ…。」

「喜んで貰えてとても嬉しいよ」

「西城さん…ありがとう」

「何だ、昨日は大輝と呼び捨てにしていたくせに、白々しい。
それとも何だ?アンタはムードが盛り上がらないと素直な自分は見せないのかな?
昨日は一晩中俺から離れずに甘えていた癖に、大輝の好きにして、大輝のお願い何でも聞く、と可愛らしい事を言っていたじゃないか。
それに昨夜は随分大胆で…」

「もうッ!やめてよッ
恥ずかしいなぁ~……」

どうかしていたと言うのならば、もうずっとどうかしていた。

彼に出会い、彼を好きになってから、わたしはどうかしていた。

昨晩、24個のプレゼントをくれた。どこの映画か、とも思ったが、両手に抱えきれないプレゼントを貰うなんて産まれて初めての体験で

高い物ばかりで申し訳ない気持ちになったけれど、それはもう素直になって有難く頂く事にした。



そして彼は’忘れていた’と言い、朝クリスマスケーキを冷蔵庫から出した。

二人分のケーキは可愛らしいサンタが乗っていた甘酸っぱい苺のショートケーキだった。

素敵な旅館で、初めて一緒のクリスマス。夢のような時間だった。思えば去年のクリスマスは、井上さんにハッキリと振られたかなり痛い日だった。

けれどあれから…1年経過して、こんな素敵なクリスマスを神様がプレゼントしてくれるなんて…。



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