【完】淡い雪 キミと僕と
「今回はお越しいただき、ありがとうございました。
大輝くんにも久しぶりに会えて嬉しかったし、こんな素敵なお嬢さんにも会えてとても嬉しかった」
夢かぐらの常務である西門さんはとても素敵な方だった。幼き日の彼を知っている人。とても優し気な瞳で、人を見つめる方だった。
「いえ、こちらこそ…忙しい時期に最高のもてなしをありがとうございます。
同じホテル業界に働く人間としても、とても…勉強になりました。」
「いえいえ、こちらこそ喜んでもらえて何よりです。またいつでもいらして下さい」
「あの…西門さん…今度また改めて連絡をさせて頂きます…。それで、もし機会があったらでいいのですが…お仕事でご一緒出来たらと思います」
西門さんは優し気な瞳を少しだけ見開き、目をぱちくりさせた。
「僕は…確かに机の上でホテル業界の経営について勉強を沢山させられたような気がします…。
けれど、改まってお客さんと向かい合う実践的な勉強はしてこずに来たのだと思います。数字の上ではなく、もっと現場を見て見たいのです。
それで…もし西門さんがよろしかったらなんですが…時間が出来たら…数か月でも良いので、もう一度僕は…ここで1からホテル業界の勉強をしたいと思ったのです…。
勿論無償で…下っ端で良いのです。西門さんの下でもう一度勉強し直したいと思っています」
驚いた。彼がそんな事を考えていたなんて。
西門さんはそんな彼の言葉に、目を細め微笑む。