【完】淡い雪 キミと僕と
旭山動物園は、夢かぐらから20分ほど離れた小高い山の上にあった。
想像していた以上に大きな動物園でびっくりした。勿論雪が降りしきる中の動物園なんて行ったのは、人生で初めて。
数年前から、とても有名な動物園で、映画になったりドキュメントで特集が組まれるほどの有名な園ではあった。 何でも、改装前は全く人の入らない寂れた動物園だったとか…。
けれど、当時の園長が人が集まるような魅力的な動物園を作りたいと精を出した結果、現在では全国から人が集まる大変人気な動物園になったという。
人が何かを起こそうという力は偉大だ。 それは、西城さんの仕事にも共通する所があるのではないのだろうか。
「きゃーッ。広-いッ」
「ちょっと待て、走るな。とても寒い…。何だこれは…。こんな所で動物はガチで生きていると言うのか…?」
雪の降りしきる動物園なんて、中々素敵だ。
動物は生きているのか?西城さんはそう言ったけれど、寒い所が好きな動物にとっては北海道の冬はもってこいなのだろう。
こちらの動物園の目玉であるホッキョクグマとペンギンは実に活き活きとしていた。…南国育ちの動物にとっては厳しい冬なのだろうけれど
観光客は上々だった。 中には、外国からのツアー客もいたりした。
「西城さんってば、早く!
あっちがペンギン館みたいよッ」
「ちょ、待て…。本当に寒いのだ。」
「もぉーッ軟弱だなぁ。これだからお坊ちゃまはぁー…」
「うるせぇ、俺は寒いのが苦手なんだ。
おお…それにしてもすげぇな、ペンギンが泳ぐのが中から見えるのか」