【完】淡い雪 キミと僕と
飛行機の中から見えた、雪景色はこれまた絶景だった。
行きの飛行機では外の風景を見る程の余裕はなかったから。帰りの飛行機では西城さんはわたしへ背を向ける事もなく、一緒に景色を楽しんだ。
「やっぱり北海道は広大だわ…。それに時間が流れるのはあっという間ね、残念だわ」
「それは俺と一緒にいる時間が楽しすぎるという事かい?」
「まぁ…そうとも言うわね。でもずっと来たかった北海道をあなたと来れて、とても楽しかったし幸せだったわ」
行きの飛行機の中ではどうなることかと思ったけれど。
このまま無視をし続けられていたら、極寒の地の中彷徨い死んでいたかもしれない。ってのは、冗談だけど…、彼に無視をされるのは、とても痛かったのは事実だ。
「また来れば良い。何度でも。今度は函館に行こう。アンタの好きな新鮮な魚が沢山ある。食い意地のはってるアンタにはぴったりだろう。」
「うるさいわねぇ。それを言えば、札幌にもいってみたいし、小樽も行きたいわ。パパが石原裕次郎好きなのよ…」
「いいな、それ。今度は家族旅行で来よう。美麗パパと美麗ママも連れて来たい。
きっとふたりならおおはしゃぎだろう」
「それを言うなら、アンタの両親もね」
その言葉に、彼は子供のように笑った。 きっときっと、西門さんの言葉は嘘ではないわ。あなたは愛されていた子供なの。
そこに何かすれ違いがあって、ボタンの掛け違いがあっただけ。それで、互いを誤解してしまっているだけなの。 だから、あなたはもう愛されていないなんて思わないで欲しいのよ。
記憶の中に眠っているだけで、幼きあなたはきっとご両親にとても愛されていた。 今はまだ無理でも、いつか分かり合える日が来るはず…。