【完】淡い雪 キミと僕と

フロントと受付嬢の仕事は少し違うかもしれないけれど、通ずるものがあるだろう。 それならば、何も持たないわたしにでも出来る事がある筈。


夢かぐらの人たちは、皆活き活き仕事をしていた。

だから、わたしもただ彼の側にいるだけじゃなくて、少しでも彼の役に立ちたい。 こんなわたしにだって、出来る事はきっとある筈。



1時間ちょっとのフライトはあっという間だった。遠いようで、近い北海道。

思い出が沢山つまった初めての旅行。東京の人工的な夜景が見えた時、少し寂しくも感じたけれどやっぱり訪れて良かった。

あなたはやっぱり少し不思議な人ね。

わたしへ様々な光景を見せてくれて、思いもしなかった夢さえ与えてくれる。

彼との繋がりをあんなに恨んだものよ。神様を憎んだものだった。けれど雪がもたらしてくれた偶然が、彼をここまで大切な人にしてくれるとは、それこそ夢にも思わなかったわ。

もしかしたら、神は誰でもなく雪であったのかもしれないわ。わたしと西城さんを繋いでくれた、小さな命だったのかもしれない。



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