【完】淡い雪 キミと僕と
17.大輝『俺の前にこれから美麗以上の女は現れん。』

17.大輝『俺の前にこれから美麗以上の女は現れん。』




クソジジイは密に手を回していやがった。

年明け。美麗との同棲生活が始まった途端に嫌なニュース。せっかく新居に荷物も搬入し、新しい暮らしが始まろうとしていた矢先の出来事だった。

浮かれ気分ではあった。年明け早々会長室に呼び出されるまでは



祖父は黒い皮の椅子に腰までどっしりと身をおろし、そして机の上に茶色い封筒に入ってる書類を叩きつけた。

下からこちらを睨みつけるような、ねとりと絡みつく視線。 まるで’お前は何をやっている’とでも言いたげな瞳だ。

何となく、こういう事をする人だとは予想をしていたけれど…。まさかここまで腐っていたとは思わなかった。どんな人であろうと、自分と血の繋がった祖父には何ら変わりはない。

「これは……」

封筒に目を落とし、直ぐに顔を上げた。’見ろ’と無言で促しているようだ。

嫌な予感はしたが、茶色い封筒に手をかける。その中には何枚かの美麗と俺の写真。美麗だけの写真もある。

そして、真っ白い紙に印刷されたのは、彼女自身の経歴や素行だった。…美麗は不意に写された写真でも可愛いな。いや、そういう場合ではない。何をコソコソと調べ上げているのだ。

ロクに中身を見ずに、目の前にいる老いぼれをぶん殴りたい気持ちに駆られた。

「山岡美麗さんについて、だ」

「何を勝手な事を」

「そんな怒る事もあるまい。お前が選んだお嬢さんだろう? 西城家に相応しい人物であるか、調べる必要はある」

「あなたに決められる事ではない。俺に相応しい女かは俺自身で決めれば良い。」


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