【完】淡い雪 キミと僕と

ぽんぽんお金を使うもんじゃないのよ。と美麗にたしなめられ、全部買い替えようと思っていた家具は却下された。

俺の家にあった物と美麗の家にあった物で賄う事にした。中々に彼女はしっかり者と言えよう。美麗の好きな家具を好きなだけ買ってやろうと思っていたところだが…、西城さんと暮らせるだけで嬉しいのよ。と可愛らしい事を言うのでそれに免じて許しておく事にしよう。

「おおおおお…」

「何よッ」

「面白い形をしている餃子だ…」

「うるさいッ!文句があるならば食べるな!」

「そんな事は言ってないじゃないか。個性的な形で良い、と言ったのだ。
それに炒飯も相変わらずベタベタで」

「ムカつくなッ!」

美麗の料理は一向に上手くはならない。 いや、味は旨いんだが、どうにもこうにも不器用らしい。

それに引き換え、俺は料理の腕をめきめき上げていき、いつの間にか料理の鉄人になってしまうのではないかと怖い。

それでも美麗と暮らし始めてから、毎日よく眠れるし、食欲もあるし、性欲も方も絶好調である。美麗と出会い、人としての機能が正常に動き出したと言っても過言ではない。

「そういえば、来週なんだが…」

「来週?」

「ああ、父が是非家にと。
まぁ新年の挨拶をかねてと言われた。母の体調も良さそうなんで」

「それは良かったわ…。でもわたし…行っても大丈夫なのかしら…何か怖いわ…」

「何も気にする事はない。
父は是非美麗に会いたいと言っているし、母は不躾な態度を取るかもしれないが、あの人はそういう性質なんで気にしなくて良い」

「でも…ドキドキしちゃう…。
手土産は何が良いかしら…。西城家に相応しい物……」


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