【完】淡い雪 キミと僕と
美麗はブツブツ何かを思い悩んでいたようだが、両親に関しては問題はない。
あの馬鹿でかい家には、祖父は住んでいない。祖母が亡くなってからはタワーマンションで悠々自適に一人暮らしをしている。
…まぁ若い女でも連れ込んでるとも限らんが…。70過ぎても元気なもんは元気なのだろう。
よって、お手伝いと両親しかいない。というわけで美麗も気兼ねなく過ごせるだろう。
父は、反対していない。母も、きっと興味なしと言った所だろう。
それどころか連れてこいと言ったのは父自身であるのだから。
「ねぇ、西城さん…その日美容院に行った方がいいかしら?」
「大丈夫だ。君の長い髪はストレートでも十分美しい」
「もうッ。真剣に言ってるのに」
こっちだって真剣に言ったつもりだ。だが美麗はぷりぷりと怒り出し、何の洋服を着て行こうかとクローゼットまで漁りに行った。
寝室のベッドはキングサイズは入らなかった。よって、新しくダブルベッドを購入した。
美麗の趣味に合わせ、ピンクと白のお姫様のような落ち着きのないベッドになってしまったが、隣に彼女が眠るならばそれで充分。
甘えん坊の雪はいっつもこのベッドの中に入ってくる。とはいえ、夜中色々な場所で移動して寝るのだが。
お姫様のようなベッドで美麗と雪を抱いて眠るのは、1日終わりの何よりも至福な時間でもあった。