【完】淡い雪 キミと僕と
「ねぇ、大輝」
彼女は、俺を様々な名で呼ぶ。
西城さん、やら西城だとか、大輝とか、たまに甘えて大ちゃんなど。そろそろ統一して欲しいものだが、彼女に呼ばれるのならば、何でも良くもある。
「どうした?もう1回シたいのか?」
「馬鹿じゃないの?」
同棲したとて、毒舌も相変わらずだ。
「ねぇ、家に行く時はどんな格好がいいのかしら?」
「いやそりゃアンタの好きな格好で良いだろうが」
「そうは言っても…!
やっぱりお嬢様風のワンピースの方がいいのかしら?
それともキャリアウーマンっぽくパンツスーツとかの方がいいのかしらね?」
余りにも下らない事に真剣に悩んでいるようで、プッと吹き出してしまう。
その俺の表情を見て頬を膨らませ拗ねる。真剣なのに…とまたブツブツと文句を言っている。
背を向けた美麗を後ろから、抱き寄せる。 この小ぶりな胸も、今となっちゃ可愛らしいものだ。
「俺は、裸の美麗が1番好きだがな」
「バッカじゃないのッ。
やっぱり清楚な方が親ウケはいいわよね…」
性懲りもなくまだ着ていく洋服の事を考えているらしい。 何でも似合うのだから、心配する事等何もないのに。
「美麗…」
「何…?そんな甘えた声出しても今日はもう終わりよ。疲れてるんだから」
ぎゅっと抱き寄せる。両手にすっぽりと埋まる胸は、昔の俺ならば全然タイプじゃなかったのに、美麗だと愛しく思えるもんだから不思議だ。
少しだけ動かすと、美麗の手が俺の手を叩いた。…そういう所は相変わらず可愛くないぞ。