【完】淡い雪 キミと僕と
それはヤキモチにしか思えんが?
S.A.Kの事はよく知らん。ただ佐久間が有名なデザイナーの孫である事は知っている。
傍から見れば、菫とお似合いだろう。つーか…あの男まさか…菫に似ているからと言って美麗に近づいている訳では…。
これはあくまでも俺の仮説だ。
だが、目の前の菫もヤキモチを妬いている普通の女にしか見えん。
「菫さんも案外素直じゃないんですね」
「なッ…どういう意味ですか?」
「可愛い所もあると言ったのですよ」
その言葉にはもう呆れかえって、大きなため息を吐かれた。
そして菫は花のような笑顔を向けて、いつものように微笑んだ。
「全く美麗さんには敵いそうにもありませんわ。
潤も強引な所があるから、きっと無理やり美麗さんを誘ったんでしょう。彼女、強く断れなさそうだから。わたしからも潤に強く言っておきます。
けれど彼女はとてもボヌールも気に入ってくれたようですから、今度是非一緒にいらして下さい」
「それは是非、伺わせて頂きます」
やはり彼女は花のように可憐に笑う。 美麗と同じ。どこか強い女性だ。
しかし佐久間潤ムカつくな。お前は絶対に許さない。何が美麗の会社とのコラボ商品だ?!まさか美麗に近づくためにわざとあいつの会社とのコラボを提案したでもあるまいな?
というか、諸悪の根源は美麗に佐久間潤を紹介した友理奈か…。そしてその友理奈とセフレだったのは自分で、結局悪いのは俺だったか…。
菫に関してはどうにかなりそうだ。今日話していて何となく彼女は佐久間潤に想いを寄せているような気がした。
幼馴染というのは俺には全く持って分からんが。まぁ特別な物なのだろう。
しかし祖父の事はどうだろうか。あの人はしつこそうだ。父は、美麗を歓迎してくれるような気はする。母は知らんが。
俺の中で、祖父の事だけがネックになっていた。