【完】淡い雪 キミと僕と

やはりそういう話か。

分かってはいたのだ。

分からないのは何故わたしの身元が判明しているかという位だが…。

「西城さんに立場があるのはわたしも重々承知しております…」

「そうですか。でしたら話は早い。
さっきも言った通りお付き合いに関してうるさく言うつもりはないのです。
美麗さんが割り切って大輝とお付き合いをなさっているのならば、問題はないのです。」

「割り切って、とは…?」

「ただの遊びならば良いと言ってるんですよ。けれど、もしもあなたも大輝と結婚を考えているというのであれば話は別です」

有無を言わせなさそうな話っぷりだ。

ゆっくりと珈琲カップから顔を上げると、やはり口元は笑っているが、目は全然笑っていない…。

つまりはそういう事よね?真剣に結婚なんか考えている訳じゃねぇよな、この一般庶民の小娘がって事よね…?

丁寧な言葉を使ってるみたいだけど、はよ別れろって言いたいわけよね?

「恋人は選べても、大輝には結婚相手を自由に選ぶことは出来ないのです」

「…それはおかしいです…」

わたしの言葉に、おじい様は目を丸くした。 何を言い出すかこの小娘が、という所か。

「大輝さんの人生は大輝さんの物です。西城グループの為ではありません。
だから彼が誰と恋愛しようと結婚しようとそれは彼の自由だとわたしは思っています…」

眼鏡の奥の鋭い眼光が動く。

ヒェッ!やっぱり怖い。

今度お会いする予定の彼の父親はこの人の子供な訳よね?そう考えると頭がクラクラした。



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