【完】淡い雪 キミと僕と
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『今日は晴れていますね(*'▽')
晴れていると、気分が良く仕事が出来そう( *´艸`)』
『今日は珍しく残業。ちょっとミスをしてしまって…。自分がした事だからしようがないけど落ち込んでいます(..)
西城さんはお忙しいですか?
お仕事頑張ってください!』
欠伸が出そうな程、退屈な内容だったと思う。
それでも女性には優しく。そんな下らない内容にもマメに返信を返していた。
パーティーで会った時余りにも必死だったもんだから、連絡先は交換した。そして下らないメールのやり取りが始まって、直ぐに後悔した。
山岡美麗という女は、下手に手を出したらいけないタイプだと、頭の中で警告音が鳴った。
彼女は恐らく、真面目な人間なのだ。
港区で遊んでいるけれど、どこか普通の感覚を持ち合わせているタイプで、育ちもきっと悪くはない。愛されて育った典型的な人間。
そこが最も俺が苦手とする所以のひとつでもある。
お金持ちな男との玉の輿婚。優雅な生活。上昇志向であるのには間違いはないのだが、遊びで男と付き合うタイプには到底見えなかった。
美味しい高級料理。素敵なブランドバック。ある程度は男に貢いでもらっていたかもしれない。けれど、友理奈のように金では全てを割り切れないタイプ。
身体は簡単に明け渡さない。
だから非常に厄介だというのだ。
遊び慣れている女だとしたのならば、それが一夜だと割り切れる女ならば、一度くらい抱いてやっても良かった。
でも彼女はきっと違う。
軽々しく手を出してしまえば、きっと傷つく。あのバレバレな張り付けられた花のような笑顔の先の、崩れ落ちそうな涙は、何故か見たくなかった。
だからハッキリと告げたのだ。