【完】淡い雪 キミと僕と
19.美麗『わたしも自分で呆れるくらい、あなたが好きよ――』
19.美麗『わたしも自分で呆れるくらい、あなたが好きよ――』
西城さんの両親はわたしの想像していた物とはかけ離れていた。彼から聞いた話からも、とても。
西城家に足を踏み入れた時は驚いたものだ。敷地が広い。都内の一等地にこれだけのお屋敷を所有するなんて、分かってはいたけれどとてもお坊ちゃまだ。
迫力のある木造の門構えはドラマでしか見た事はない。けれどリフォームを何回か重ねたという敷地内にある建物は、近代的であった。中に入って更にびっくり。
高そうな壺や掛け軸もあったし、かと思えば有名なイルカが青い海を泳いでいる大きな絵も飾られていた。
家具も全て、高級そうに見えた。暖炉のあるお家なんて外国でしか見た事はない。
そして彼の両親は快くわたしを受け入れてくれた。
おじい様の件があったから多少不安はあった。…けれどあのおじい様とは対称的な温かな雰囲気を持つ両親で心から安堵した。
お父さんは案外気さくな人ではあったし、お母さんは話に聞いていたよりもずっと優し気で、パウンドケーキなんかも作ってくれていた。
とても甘くて美味しかった。そして最近趣味でやっているというガーデニングも見せてくれた。
一室が全て、ガーデニングに覆われているその室内はとても空気の良い場所だった。
「わぁ、素敵ですねぇ」
「けれどねもっぱら玄さんに手伝って貰っちゃって。わたしってば何も出来ない人だから」