【完】淡い雪 キミと僕と
「大輝は――
わたしを余りよく思ってないと思うんだけど」
突然切り出された話に何て答えていいか戸惑ってしまう。そんなわたしの態度は傍から見ればバレバレで、お母さんは苦笑した。
「わたしは、昔から余り体は強い方じゃなくって…。
大輝から聞いていると思うけれど病気があるので、病院に入院したり退院を繰り返したりしているの」
「えぇ…その話は何となく。今は体調がよろしいですか…?」
「そうね。最近はとっても体調が良い方で、けれど酷くなったら自分で自分が分かんなくなっちゃう時があって、そういう時は自分の体ながら死んじゃった方が楽なのに…と思う事もあるの。
わたしがこんなだから…小さい時は大輝に強く当たってしまって、今でいう虐待にあたるような事もしてしまったの。躾だなんて自分を正当化してきたんだけど、あれは誰が見ても虐待で
わたしは加害者で、あの子は被害者だった…」
ごくりと唾を飲み込むのが自分でも分かった。
そこまでの話は西城さんから聞いた通りだった。
けれど彼女の横顔はどこか酷く後悔をしているように見えて、今にも消え入りそうな程頼りない。
愛し気に花を撫でるその手が、幼い子供に暴力を振るうのにはどうしても結びつかない。
「わたしはきっと死んだ方が良かった人間」
「そんな……」