【完】淡い雪 キミと僕と
きっとたったひとりを探し続けていた。
と言えば、なんてロマンチストな男だと思われそうだが。そういう事じゃなくて
俺が西城グループの社長令息という地位を失くして、お金も持っていなくて、今よりチビで禿げで、誰もが目を背けたくなるほどの不細工であったとしても、受け入れてくれるような人。
そんな女はきっとこの世界でひとりしかいない。それは、俺を産んだ、母親ひとりだ。
母親という生き物は、どんな子供であったとしても愛してくれるたったひとりの存在だ。
しかし俺の母親は、俺を愛してはくれなかった。寧ろ憎まれ、疎まれているとさえ思えたのだ。
だからきっと俺は、普通の母親が曇りなき愛情を子供に与えるような、そんな愛を与えてくれるような女をずっと探し続けていた。
タイプではないと電話ではっきりと告げてから、美麗との連絡はぷつりと途絶えた。
けれど後の運命の悪戯つー奴で、再び彼女と繋がる事になるのだ。
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