【完】淡い雪 キミと僕と
「雪ー…」
ベッドサイドから手を伸ばし雪に触れると、嬉しそうに目を細めてゴロゴロと喉を鳴らす。
それを合図にぴょんっとベッドまで登って来る。これから何が始まるの?その瞳はワクワクとした未来への羨望の眼差し。
けれど彼は雪の頭を撫でて「後でめいっぱい構ってあげるからな」と言って、わたしの服を脱がす。何と手の速い男だろう。
雪は雪で大きな欠伸をしたかと思えば、ベッドサイドで体を舐め始めた。 構われ待ちと言った所だろうか、やはり猫は健気だ。
「雪が可哀想」
いつもの言葉を口に出せば、悪戯な顔をして微笑んだ悪魔が目の前にいる。
「雪は毎日俺のお腹を独占する。たまにはアンタにも俺を独占させないと欲求不満が溜まるだろう?」
そう言って、首筋を舌先で舐める。
「んッ!」
彼に触れられるのが好き。
彼の唇が身体に落ちる時が、好き。
悪魔のような笑みを見せても、優しくわたしの身体に触れる瞬間に、どうしたって愛しくて堪らないんだ。
心も体も全てを支配していくのだから、これじゃあ一生離れられない。
あっという間に下着姿にされて、それを隠すように両手で覆うとまた意地悪な笑みを浮かべる。
「まだ昼だしッ!」
「ほう、それは都合が良い。身体の隅々まで見れる」
「真昼間なのにご近所に声が漏れちゃう」
「アンタの声はデカいからな。でも俺は好きだぞ。素直な美麗の声は」
「もうッ!」
あっという間に下着を脱がしていく彼に抗う事など無駄な事。
わたしはこの意地悪で独裁的な男に支配されるのが好きなのだ、結局は。
彼の匂いと汗が交じり合う。もう諦めモードで彼の背中へと腕を回すと、彼は小鳥のようなキスを唇へ落とす。