【完】淡い雪 キミと僕と

「そう言えば……」

「何だ…ムードの欠片もない女だな。」

思い出したかのように、彼に問う。

「おじい様云々の話はどうでも良いんだけど、北海道の件はどうなったの?お父さんと話した?」

「ああ、その話ならば父はとっくに了承してくれている。
3月から1か月程度北海道出張になるだろう」

「そう…かぁ…」

1月も…。

しかも3月と言えば、わたしの誕生日なのだけど…。まるで言いたい事を見抜いたかのように彼の動きがぴたりと止まる。

「大丈夫だ。2月の後半から行って、28日までには帰る事にしよう」

そうやって何気なく嬉しい事を言ってくれるのだから、きっと彼には敵わないだろう。
たまに思う。

わたしの方が彼よりずっとずっと彼を好きなのでないか、と。

「1か月も出来なくて寂しいか?」

「もぉ~ッ…そういう事ばっかり言わないでよ…。
でも、まぁ1月会えないのは寂しいけれどね…」

「そうか…では1月分たっぷりとシてやる事にしよう」

「ぁッ…だからそういう事じゃなくって……」

「本当は美麗も連れていけたらいいのだけどな…。こればかりは致し方がない。
俺がいないからといって浮気などをしないように」

「それはこっちの台詞よ。 ゃッ…あ…ン…」


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