【完】淡い雪 キミと僕と

「会長、お言葉ですが大輝が夢かぐらに出張に行くのは良い経験になると私は思います。
大輝の言う通り彼は現場を知りません。そのままこの先西城グループを引き継ぐのは心配でもあります。
それを考えれば西門さんの下で優秀なスタッフと仕事をするのは悪い事ではないと私は思っております」

「何を生意気な、お前が言えた口か」

「美麗さんに関してもそれは大輝の自由です。
私は西城グループの未来を思えば、大輝の為に美麗さんが側にいる事はどんな令嬢といるよりも彼にとっても仕事の張りになるでしょう」

「だからお前が言えた事か。結局お前があの女と一緒になった事でこの様ではないか?!」

「私と大輝とでは違いますッ!」

ぴしゃりと言い放った。

それにはあの祖父も一瞬たじろぎ口を結んだ。

顔を真っ赤にして怒る祖父の、両拳がわなわなと震えている。

父がまさか、祖父にここまで歯向かうとは思ってもみなかった。

「しかし、西城グループの為にッ…」

「未来を担うのはあなたではなく大輝や美麗さんだ。
そして私もまだまだ元気な内は、その助けになりたいと思っている。
お父さん、もういいでしょう?大輝は西城グループの跡取りである前に私にとっては大切な息子だ。
その息子の我儘のひとつ…私は…今まで聞いてこなかったというのだから…」

「だが、あの子だけは認められん!お前はあの子の素性を知ってると言うのか?!
大輝の事だって金目当てに違いないッ!私には分かるのだ!」



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