【完】淡い雪 キミと僕と
「寂しいもんよね」
数日後。
北海道へ出張へ行く日が近づいてきた。
夜ご飯を食べ終えて、雪と3人まったりとしていた時に美麗がふと呟いた。
昨日までに出張に必要な物は大抵北海道で送ったばかりだった。
雪は俺が居なくなるのを分からないだろう。お腹の上に乗って「ふぁー」と大きな欠伸をした。…それにしても重い。最近こいつがお腹に乗って寝ると、息苦しくなる。絶対に太ったと思う。
それもこれも美麗が甘やかすからだ。俺が甘やかすと怒るくせに、自分は良いとは身勝手な女だと思う。
雪の首筋を撫でると、ゴロゴロと良い音がした。
「やっぱり俺がいないと寂しいか」
「まぁね…。雪がいるからいいけど、やっぱりちょっと物足りない気もするわね」
「ハァ?!ちょっとってなんだよッ!俺は雪より下か?!」
「そりゃあ雪はわたしが1番好きな雄だもの…。あなたより上なのは当然よね」
「俺はッ…俺はッ…雪と美麗が同じくらい好きだ!」
「ふーん…」
何だその’ふーん’と興味の無さそうな返しは。
俺のお腹の上で眠る雪の顎をこちょこちょすると、やはり雪は気持ちよさそうに上を向いた。
その様を美麗は優し気な瞳で見つめる。…この何気ない時間が幸せだ。
美麗と一緒に暮らすようになって、未来を想像した。それはよりリアルに。
近い将来…いや、俺は今すぐにでも構わないのだが、美麗と俺と雪。
ふたりと一匹で幸せな結婚生活を送る。それはとても毎日幸せなのだ。雪が毎日可愛らしく俺たちに甘えて、美麗はきっといつまで経っても素直にはなれないから俺に憎まれ口を叩く。