【完】淡い雪 キミと僕と
「ミャーッミャーッミャーッ」

「なぁに?雪。ちゅーる欲しいの?」

でも今は、特別ではない自分を認めてあげられる事が出来る。

それはきっと、あなたがわたしを愛してくれたからだと思う。

わたしの悪い所も含めて、全てを包み込むその愛情は、とても淡く柔らかく、そして強い。

あなたに愛されて特別じゃない自分を好きになってあげられた。




不器用に野菜を刻む。

今日は休日だから、ゆっくりと時間を掛けて料理を作ろう。 不器用さは変わらないだろうけれど、どんな料理でもあなたはきっと嬉しいと喜んでくれる筈だから。

そんなあなたに出会えて心から嬉しいわ。


お昼からコトコトと煮込んで、カレーは完成。

絶対に失敗しないであろう簡単レシピを選んだ。それでもじゃがいもが溶け切ってしまった事には唖然。

けれどスープの中にじゃがいもの栄養は充分染み渡った事だろう。けれど意地悪なあなたは「じゃがいもが入っていないが?」とでも言うかしら?

夕方になってソファーで雪と寄り添っているうちに眠気が襲ってきて、そのまま寝込んでしまった。

「おい、」

「おいって!」

「起きろ!」



夢の中、西城さんの声が聴こえた気がした。
ついでにミャーミャーうるさい雪の鳴き声も。

ゆっくりと目を開けたら、そこには不機嫌そうな顔をした彼が立っていた。

眉をしかめ、一重瞼の目を鋭く光らせて、口を一文字に結ぶ。いつも通りの、彼だった。



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